まだ出産を経験してないこともあり、私の乳房はつんと上向きだ。
 浴室の鏡に映るその膨らみは、瑞々しく豊満だと言っていい。
佐知代「(まだこんなにキレイな体なのよ……)」
 自分で乳房を持ち上げてみると、美しい谷間のラインが現れ、はちきれんばかりの弾力が鏡越しでも分かってしまう。
 そのまま、横向きに体を映していくと、ふくっらと丸みを帯びて、きゅと持ち上がってるお尻もなかなかだ。
佐知代「(ここが問題なのよね……ふぅぅ……)」
 下半身に視線を下ろすと、脚の間の陰毛に溜息が出でしまう。
 恥丘を覆うその毛は、一般の女性のそれよりもはるかに多いのは一目瞭然だ。
佐知代「(何とかならないかしら……)」
 容姿には自信がある私の唯一のコンプレックスで、多毛症では……と本気で悩んだ事さえある。
 この事は、夫には一度も触れられた事はないが、それが余計に羞恥を覚えていく。
佐知代「(大輔さんだって、普通よりはかなり多いと思ってるわよね……)」
 ポツリと呟ながら、そこも丁寧に洗うと、脚の恥裂の突起に触れた。
 もう、何ヶ月ここを愛撫してもらってないだろう……。
 帰宅の挨拶もそこそこに押し倒され、リビングで何度も絶頂に導かれた事が、今では遠い思い出になってしまっている。
佐知代「(ふぅぅ……また、あんなに愛されたいのに……)」
 クリトリスから全身に駆け巡る快感を想像して、ぽうっとなっていくと秘部に自然と手が伸びていた。
佐知代「(イヤだ、私ったら……こんなんじゃ、大輔さんに嫌われちゃう……)」
 頭を振り体を洗うのに専念したが、硬い逞しいペニスが膣をいっぱいに埋め尽くす感触が思い出され、腰が疼く。
 そのめくるめく瞬間は、何ヶ月もまともに体験していないのだ。
佐知代「(大輔さんは、もうこの体に飽きたのかしら……)」
 今では、この豊満な体に口付けする事も、撫で回すことも無くなっている。
 夫のセックスは、生真面目な性格を反映してか、冒険的な事は一切しない……でも、愛があればそれで満足できる。
 しかし、その淑やかなセックスさえ、ここ何ヶ月は更に簡単に終わっていた。
佐知代「(まったく……全部、あの子がいるからよ……)」
 全ての不満が和也君に繋がり、腹立たしさが倍増してしまう。
 就職活動とは名目だけで、都会の生活を満喫しているのは、誰が見ても明らかだ。



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